ブックレビュー
| 原題 | HAPPINEST |
|---|---|
| 著者 | Judy Holland, Foreword by Linda Wertheimer |
| ページ数 | 242 |
| 分野 | 社会、人間関係 |
| 出版社 | Rowman & Littlefield |
| 出版日 | 2020/02/15 |
| ISBN | 978-1538130582 |
| 本文 | 子どもが全員巣立ち、家が「空の巣」となった後、第二の人生が始まるが、幸福な人生を再構築するのは容易ではない。最悪のケースとして起こりうるのは離婚である。子育てに明け暮れている間に夫婦の互いへの関心が薄れてしまうのである。 現代は平均寿命が延び、子育て終了後にはまだ人生の半分ほどが残されている人も少なくない。その人生を幸福に過ごすための秘訣が詰まっているのが本書である。ジャーナリストの経験を生かして、著者がさまざまな分野の専門家および空の巣夫婦300人以上にインタビューを実施、幅広い知見に基づいて客観的で説得力をもって実状や具体的な対応策を述べる。多種多様な人々の体験を中心に話が展開され、飽きずに読むことができ、読者の興味を引きつける。豊富な実例とともに繰り出される具体的なアドバイスはさまざまな状況下にいる人に有益な示唆に富んでいる。 たとえば良好な夫婦生活を築くためには多額のお金をかける必要などない、と著者は説く。ふたりで新しいことに挑戦してみたり、他の夫婦とのダブルデートも効果的である。 また、離婚という道を選択するにしても、「最適なタイミング」というものは存在しないが、「最悪のタイミング」は存在する。子どもが高校を卒業したときと、子どもが不安に直面しているときである。 さらに、離婚後に直面する問題は男性と女性で異なる。男性は健康を害する傾向にある。また、信頼の置ける友人もほとんどいない。一方、女性は友人が多いが、経済的に苦しむことが多い。 そして、幸福な人生を過ごすうえで何より大切なのは、親しい友人の存在である。しかし、時間もエネルギーも労力もかけなければその関係を維持することは難しいものだ。 これはほんの一部に過ぎず、本書には多くの事例が紹介されている。まさに今、「空の巣」となった家庭で困難に直面している人が目の前の問題を解決し状況を打開するのに役立つ一冊だ。また、現在子育て中の人にとっても将来、「空の巣」を「幸福な巣」にして、幸福な第二の人生を送る準備にも大いに役立つだろう。 |
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