原題 | Dancing with Bees |
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著者 | Brigit Strawbridge Howard |
ページ数 | 304 |
分野 | 生物、自然、ガーデニング |
出版社 | Chelsea Green Publishing |
出版日 | 2020/04/30 |
ISBN | 978-1603589864 |
本文 | <アウトドア、自然、英国拠点の旅行記の作品に対して与される文学賞「ウェインライト賞」2020年度ノミネート作品> 筆者は、ある日ふとフランス革命のことより、そこに生えている木についてすら何も知らないことが多いことに気づき愕然とする。鳥についても、野生の花についても、そしてハチについても知らないのだ。その感覚、気づきに思わず彼女は文字通り立ち尽くしてしまう。しかしその日こそ、ハチをはじめとする野生の植物や動物に囲まれた旅路の始まりだったのだ。 地球上には35万種を超える花を咲かせる植物が存在し、その花々はわかっているだけでも少なくとも35万種の花粉媒介動物によって授粉されている。その多くは昆虫でその中でも特にハチが重要な地位を占めていることはよく知られ、環境面でも農業面でも中心的な働きをしている。 この授粉能力と蜂蜜とが人間を養蜂に駆り立てる大きな要素であるが、心理的にもハチに対して親しみを覚える別の何かがある。それはハチたちの労働倫理とでもいうべき、集団がよりよくなるためにできることは何でもするという姿勢だろう。ミツバチは高度に発達した社会的な生物であり、科学的な用語ではこのレベルの社会的な組織のことを「真社会性を有する」という。しかしこれはハチの大きな特徴であるとつい考えがちだが、実際にはこのように共同体を作り役割分担をするハチはごく一部で「孤独な」ハチも多い。そうしたハチは自分だけの巣を持ち自分のためだけに行動し、自分の子供が生まれる前に死んでしまったりする。本書にはこうした意外な事実も多数記されている。 春になり空気が緩みあちこちで緑が萌えだすころ筆者が夫とともに手を入れている庭園にも最初のハチが訪れる。長い冬眠から目覚め新しい共同体を作る準備をしようと飛び始めたハチを見ると心がワクワクしてしまう。作者は奥深いハチの世界を通じて自然の素晴らしさと自然保全の重要性を訴えている。 |