原題 | Barn Club |
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著者 | Robert Somerville |
ページ数 | 272 |
分野 | 建築、自然、環境、民俗学 |
出版社 | Chelsea Green Publishing |
出版日 | 2021/03/11 |
ISBN | 978-1603589666 |
本文 | 南イングランドのハートフォードシャーに移住した有名な職人である筆者はふとしたことから近くにニレ材を使った200年以上前の小屋があることを知り、それがきっかけで産業革命以前の大工とはどんなだったのだろうという疑問を持った。往時の名もない職人たちの足跡をたどり、手造りの小屋を作り上げる体験をしてみるのも面白いアイデアではないか。かつての大工はきっと工具を扱う高い技術と地元に生えている木についての深い知識を持っていただろう。それをよみがえらせて、「バーン・クラブ」のボランティアの仲間たちと実際に1年かけて一軒の小屋を完成させる過程が本書には記されている。 木造家屋の組み立てには周到な準備が必要だ。何百か所ものつなぎ目がうまく接合するかどうかは全てそれにかかっている。まずは構造図に始まりそれをもとに木材のカッティングリストを作成する。丸太が現場に届いたら採寸しそれを記録する。製材作業ではカッティングリストと採寸リストを照らし合わせ製材リストを作る。すべて綿密な作業だ、さらにその土地の伝統的な工法を取り入れるために古い小屋や博物館に保存されている建築を見て周り参考にする。素材となるニレの木の種類とその特徴、さらに木のそれぞれの部位の利用箇所、加工方法など、工作者として知っておきたい知識もたくさん紹介されている。手書きのデッサンやカラー写真もついているので建築の門外漢にもわかりやすい。 ロンドンの郊外に広がる自然の中に生い茂るニレの木の長い歴史と再生の物語が読者を魅了する。忘れられかけた木と地方の自然と古の技法がここには語られている。私たちを取り巻く環境に健全さを取り戻し、戸外に集う人々が有意義で建設的な活動にいそしむ。本書はその素晴らしさを訴えている。 |