原題 | Wild Nights Out |
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著者 | Chris Salisbury |
ページ数 | 224 |
分野 | アウトドア/自然 |
出版社 | Chelsea Green Publishing |
出版日 | 2021/06/03 |
ISBN | 978-1603589932 |
本文 | 夜だからこそ、見えないからこそ、野外で楽しめる遊びや活動がある。怖さと興奮が入り混じる夜のアウトドアを、子どもたちと安全に楽しむためのガイド書だ。著者はイギリスで25年間、子どもたちや家族を夜の野外散歩やキャンプへ案内してきた。自身が実践して手応えのあった様々な遊びや活動について、その醍醐味や手順を伝える。さらに、子どもたちに自然の美しさや神秘さを伝える物語や詩、歌なども紹介する。夜のアウトドアがより深い自然体験につながるようにとの著者の思いが込められている。 暗闇へ飛び込む前に、まずは夜に一番頼りになる「道具」、五感を呼び起こすゲームから。それから、夕暮れや暗闇の中で友達を探したり捕まえたりする遊びへ。目を凝らしたり、耳を澄ませたり、気配を感じたり。感覚と想像力によって、芝生の上の単純な遊びもスリリングなゲームに変わる。夜の動物探検では、声や笛を使ってフクロウを近くに呼び寄せる方法や、コウモリやシカの見つけ方などを紹介。星空観察や「夜警」ハイキング、火を囲んでのお話タイムなどと、夜ならではの自然の楽しみ方が満載だ。 自然を知るための情報や物語も重視している。ハイキングで遭遇しそうな夜の動物や昆虫の生態、夜空に浮かぶ月や惑星の成り立ち、星座にまつわる物語。野外活動のさまざまな場面にぴったりの話のタネになるだろう。例えば、寝そべって星空を眺める子どもたちに筆者が語りかけるのは……背中の地球が今まさにものすごい速さで自転、公転していること、今見えている星の光は恐竜がいた時代に発せられ、今ようやく地球まで届いたのかもしれないこと。暗闇の中だと、人は深く聞くことができるし、想像の世界は自由に広がると筆者は言う。そして、遠いかなたの宇宙や、語りかける内容によっては同じように星を眺めただろう太古の人たちにも、思いを馳せることもできる。 ゲームの大半は身近にあるもので出来る。子どもたちの様子に合わせてルールを変えるなど、ゲームを仕切る上でのさまざまなヒントは具体的で、筆者の豊かな経験をうかがわせる。服装や緊急時用の備品、ハイキングコースの下見でどんな点を確認すべきかなど、安全面の解説は念入りだ。 遊びを通じて、暗闇はいつの間にか心地よい空間に変わる。そして、自然をより深く感じられるようになる。子どもたちにとって、それはきっと忘れがたい体験になると著者は説く。 |