原題 | THE NEW NOMADS |
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著者 | Felix Marquardt |
ページ数 | 288 |
分野 | 社会・教育、社会問題、文化人類学 |
出版社 | Simon & Schuster |
出版日 | 2021/7/8 |
ISBN | 978-1471177378 |
本文 | ごく少数の富裕層が世界の大部分の富を抱え込んでいる社会。学歴や人種による差別がなくならない固定化された社会。そんな中で行き場を失いさまよう若者たちのなんと多いことか。 識者たちは今彼らが属している社会に何とかして彼らを適応させようと知恵を絞るが、筆者はむしろそこを出て適応できる場所を探すことを提案する。新しい自分を見つけるために「移民」になるのだと。 「移民」というと私たちの頭に浮かぶイメージは自分の国から逃げて私たちの国に入り込んでくる避難民の一団だ。あまり望ましくないものや災難を思い出させる言葉だが、それは全く違う。 それどころかよりよい生活を求めてどこかへ行くことは人間の行動の根幹にあるものだ。 人類は狩猟中心の生活を行っていた時はもちろん、農耕生活により定住するようになってからも歩き回る習癖は残った。 自分が周囲を探索することは身の危険の察知と予防につながるからだ。古代では知識は旅によって得られるとされていた。その後、主に東から西へ、南から北へ、後進地域から先進地域へと人類の動きはどんどん大規模な現象になってきている。 そして今、ポピュリズムが台頭し、外国人排斥の嵐が各地で吹き荒れ、異文化に対する不寛容が蔓延する中、それでも若者たちは異国を目指す。 アフリカのマリからアメリカの中でも最も保守的な地域の一つであるモンタナにやって来た若者は農場に自分の居場所を見つける。 フランスで生まれ育ったイスラム教徒は商用で訪れた中国で初めて自由と無限の可能性を感じる出来事に遭遇する。 京都出身の日本の女性はアフリカの国々を渡り歩いたあげくアフリカでNGOの仕事につく。 移民は解放と啓発への鍵であり、我々の子孫が反映し成功するための手段であると主張する筆者による新しい文化論だ。 |