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残念なことに、女性が一人で山を歩くということは何だかとても危険で難しいことだと思われている。そしてその考えが間違っているとは決して言えない。それでも、だからといって私たち女性は一人で歩くというとてもシンプルで基本的な営みを放棄してしまって良いんだろうか。私たち女性は自由に歩きたいし、実際に自由に歩いている。この本は、1717年に生まれたエリザベス・カーターからレベッカ・ソルニットやリンダ・クラックネルなどの現代の作家に至るまで、300年程度のタイムスパンの中に生きていて、自由にウォーキング・ハイキングを楽しんでいた女性たちの歴史を紐解いていく。それぞれの章でその女性の人生と仕事、そして「歩くこと」について記述される。女性にとって「歩くこと」とは、自分の身体を動かす喜びであったり、嫌な結婚生活から逃避する目的であったり、健康や創造性をもたらしたり、女性によってその捉え方は実に様々である。相当に長い距離を踏破している女性も紹介する女性の中にはいるが、本当に大事なことは距離ではない。この本はあくまで、多くの女性がウォーキングやハイキングを楽しめるよう、外に出る勇気を与えることを目的とする本である。 |