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原題 Bringing Back the Beaver
著者 Derek Gow
ページ数 208
分野 生物学・植物学・動物学、環境・公害・自然保護
出版社 Chelsea Green Publishing
出版日 2020/09/30
ISBN 978-1603589963
本文 ビーバーは、エコシステムのエンジニア、水の王国の建築家といっていい。
オオカミやコヨーテのような天敵から身を守るため、川をせき止めてダム湖をつくり、その中央に木材などを集めて巣をつくる。これが、干ばつと洪水による被害を和らげ、ダムには魚や野鳥が集まって、その土地の土壌にも無限の生気を注ぎ込むのである。ビーバーほど地球環境に有益で大きな影響をもつ神の創造物は他にない。
イギリスでは、ビーバーは、ヨーロッパ大陸よりも何世紀も前に姿を消してしまった。木を喰い荒らす害獣として殺戮され、また艶のある撥水加工の良質な毛皮として、狩りの対象になり、絶滅に近くなるほど乱獲されたのである。著者のDerek Gowと彼の仲間はビーバーのイギリスへの野生回帰運動に突き進む。縦横無人に走り回り、目の前に立ちはだかる政策当局者やNGOとの交渉、さまざまな確執を乗り越えて、遂に、ビーバーのイギリス回帰を成功させるのである。Derek Gowの何とも言えない自由奔放なキャラクターが紙面に、にじみ出ており、心がスカッと豊かになる痛快の一冊である。自然環境・生態系の重要性がスッと頭に入り込む、環境保護に興味がある読者は必読。