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原題 Power Play
著者 Tim Higgins
ページ数 384
分野 ビジネス/テクノロジー
出版社 Random House
出版日 2021/08/03
ISBN 978-0385547475
本文 「人類を火星に移住させる」
SFの世界の話でもなければ、夢をエサに金銭をだまし取る投資詐欺のセリフでもない。イーロン・マスクは平然とこう言ってのける。彼は民間初のロケット打ち上げを実現すべく、2002年に自ら宇宙開発企業スペースX社を立ち上げ、2008年にはロケット「ファルコン1」の打ち上げに成功している。また2020年5月30日には、NASAの宇宙飛行士2人を乗せた初の民間有人宇宙船「クルードラゴン」の打ち上げに成功している。官製スペースシャトルに比べ、大幅なコストダウンも実現した。火星移住化計画は、イーロン・マスクの頭の中で夢物語や絵空事ではないのだ。

天才起業家、無謀な挑戦者、アンチヒーロー、稀代のペテン師。人は彼のことを様々な言い方で表現する。しかし、イーロン・マスクが人類の未来を切り開く革新的なアイデアを生み続ける、優れた経営者であることは疑いない。

イーロン・マスクが世界を驚かせた原点は、自身が経営を手掛けるテスラ社の電気自動車MODEL3の成功だ。従来の電気自動車では考えられなかった加速力と航続距離を有し、その革新性から、フォードT型の再来とまでもてはやされた。

本書では、2000年代初頭、イーロン・マスクがスタンフォード大学ソーラーカーチームに出会うエピソードから始まり、南アフリカ共和国での出生からMODEL3が世界にお目見えするまで、その半生をたどっていく。先行者利益が強く、既得権に守られた巨大な自動車業界で、イーロン・マスク率いるシリコンバレーのスタートアップ企業テスラ社は、どこまで通用するのだろうか。