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原題 Lessons from Plants
著者 Beronda L Montgomery
ページ数 192
分野 植物学、生物
出版社 Harvard University Press
出版日 2021/04/30
ISBN 978-0674241282
本文 我々にとって植物が非常に重要な存在であるかは誰もが知っていることだ。植物は二酸化炭素を吸収し、酸素を発生させることで大気を維持している。また、他の生物に栄養を与え、我々の心を癒し、周りの景観を美しく見せてくれる。しかし、植物は受動的に供給するだけの存在ではない。実は積極的に行動を起こしていることを知っている人はどのぐらいいるだろうか。

本書は、静的で予測可能なものとして扱われがちな植物が、実際は活発で創造的な生き方をしている驚きの事実を解き明かす。植物は適応の達人である。彼らは自分たちが何者であるかを知っており、自ら生きるための道を切り開いている。

植物は、目や耳を必要としない一種の感覚をもっており、敵と味方を区別することができる。そのため、戦うか逃げるかを選択する能力がないにもかかわらず、生態的な競争に対応することができる。植物は、厳しい環境の中で生き残るチャンスを最大化するための行動を自らとることができるのだ。

本書は、植物の奥深さに触れ、その生態を解説するだけでなく、植物がどのようにして目的を達成しているのかを知ることで、人間社会をどう改善していくのかも考察する。植物の行動とその適応力を学ぶことで、我々自身が世界に適応するとはどういうことなのかを考えていく。