原題 | Guitar Family Trees |
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著者 | Terry Burrows |
ページ数 | 256 |
分野 | 音楽 |
出版社 | Apple Press. |
出版日 | 2011/09/01 |
ISBN | 978-1845434236 |
本文 | ギターとは、古くは数千年前のメソポタミア文明以前から存在する楽器だが、楽器としての地位を確立し、合奏する上でなくてはならない存在として認識されたのは19世紀後半だと言われている。 本書は、長い歴史の中で生み出されてきた数々のギターの中から、ルネッサンス時代のアコースティックギターを起点とし、今日まで様々なタイプに発展を遂げたアコースティックギターやエレキギターのうち、厳選された200本超を、すべて実物写真とともに掲載した、画期的なビジュアル本だ。 本書では単に時代ごとにギターを並べて紹介しているのではなく、独自の試みとして、ギター作者や種類の系統ごとに14の系譜に分類し、同系統のギターが時代を追うごとにどのように発展・変化を遂げてきたかを知ることのできる、ギターの歴史本となっている。本書のために特別にフルカラーで描かれた系図を見れば、一目でギターの歴史と変遷を理解することができる。 系譜でギターの歴史を追うだけでなく、筆者は各ギターの情報を一ページずつまとめており、本書はさながらギターの絵図鑑の役割も果たしている。各ページには実物写真と、そのギターモデルの誕生の経緯や、ギターの材質、スタイル、仕様などが詳細に説明されており、ここまで詳しく各ギターの情報が得られるだけでも価値あるものと言える。だが、本書は加えて同モデルを愛用するギタリストの紹介および実際にそのギターを演奏している写真と、同ギターで収録されたアルバムをジャケット写真とともに紹介している。これこそが本書の面白い点であり、本書を手に取れば、必ず、掲載されている音源を聞いてみたり、さらには掲載ギタリストの作品を聞き比べて、ギターの音色を聞き分けたくなる、ギターオタク垂涎の一冊となること間違いなしだ。 筆者自らがまえがきで認めているが、本書では筆者の独断と偏見で選ばれたギターのみが扱われているが、筆者は相当のギター研究者とも言える精通ぶりで、中には日本のギターメーカーのモデルも紹介されている点でも、日本の読者の心に響くところがあると思われる。 |