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原題 OVERLOAD: How Good Jobs Went Bad and What We Can Do about It
著者 Erin L. Kelly、Phyllis Moen
ページ数 336
分野 ビジネス、社会
出版社 Princeton University Press
出版日 2020/03/17
ISBN 978-0691179179
本文 今の働き方は働いているとは言えない。いわゆる「よい仕事」とみなされるプロフェッショナルでさえそうだ。国際的な金融市場との競争やプレッシャーにより、企業は少人数で、より多くをこなすよう従業員に求める。新しいテクノロジーのおかげで24時間休みなしの対応が当たり前の状況でさえある。労働強化のおかげで慢性のストレスが生じ、やがてバーンアウト、人員削減、パーフォーマンスの低下とつながっていく。フレックスタイム制や企業がリップサービスとしてたびたび使う「ワークライフバランス」も問題の解決には至らない。それでも、こうした不健康で持続不可能な状況は変えることができる—本書がそれを示している。

5年間のリサーチ、数百件にも上る従業員や経営者とのインタビューを引用して、筆者はフォーチュン500にリストアップされたある企業で行った「大実験」について書いている。その企業が採用した創造的かつ実践的で新たなワークデザインとは労働者に働き方や働く場所の決定権を与え、経営者にはパーフォーマンスの評価の仕方を変えさせるというものだった。その結果は?従業員の健康、幸福感、プライベートと仕事を管理する能力などが向上する一方、仕事の満足度の増大と離職率の低下という企業側にもプラスの側面が見られた。筆者はこうした変化は大きなスケールで起こすことができるし、むしろ起こさねばならないと主張する。

本書は、職場をめぐる今日最大かつ難問の一つを取り上げ、対策に着手しようという従業員や経営者、企業のリーダーへのアドバイスに富み、仕事を見つめなおし、デザインしなおすことで私たちの生活や企業を変えていくのだ、という気持ちにさせてくれる。過労死問題をはじめとする悪しき労働環境の是正やアフターコロナの働き方の探求にも、今ぜひ手に取りたい一冊だ。