原題 | The Seven or Eight Deaths of Stella Fortuna |
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著者 | Juliet Grames |
ページ数 | 494 |
分野 | フィクション |
出版社 | Harper Collins Publishers |
出版日 | 2019/05/07 |
ISBN | 978-0062862822 |
本文 | Stella Fortunaが”lucky star”「幸運の星」という意味であるのなら、人生にはユーモアのセンスがあるというべきだろう。 イタリアの山奥の寒村に生を受けたStella Fortunaにとって、死は常に人生の一部だった。子どものころから生命を脅かす奇妙な出来事ばかり。なすを料理したり、豚に餌をやったりという何気ない日常がいつの間にか命取りの事態に発展してしまう。Stellaの母親さえ自分の娘は呪われているか、何かにとりつかれているのではないかと真剣に悩んだくらいだ。 ステラの一家は第二次世界大戦が迫りくる中、アメリカへ移住する。舞台が夢と希望の国に変わっても、物語はおとぎ話のようにうわつくことはなく、ただ人生の現実を突き付けてくる。敵意に満ちた新世界でステラと妹のティナは二人より添いながら成人を迎える。その間にも窒息したり、窓から落ちそうになったり、度重なる修羅場を乗り越えてくる。やがて彼女はいくら自分が命の危機を乗り越えたとしてもあることがなければ無意味であることに気が付く。それは家族が決して許さないこと、すなわち彼女が独り立ちすることであった。 Gramesは彼女自身初の小説で、20世紀を生き抜いた女性の生きざまを彼女の妹から聞いた話として書いている。彼女は生まれてこの方常に姉と行動を共にし、結婚後も互いに見渡すことができる距離の家に住んでいる。最後の死を逃れ、体の不自由なステラの世話を万端こなすのはこの気心知れたはずの妹だが、二人はこの30年間口をきいていない。しかし、かれらはそれでもベストフレンド、最良のパートナーであり、その強いきずなを作者は温かい目で見つめている。激動の時代を生き抜いた二人を、姉の異常な体験を通じて描いた、読み応えのある長編小説である。 |