原題 | Wildcrafted Fermentation |
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著者 | Pascal Baudar |
ページ数 | 304 |
分野 | 料理、自然、環境 |
出版社 | Chelsea Green Publishing |
出版日 | 2020/03/12 |
ISBN | 978-1603588515 |
本文 | 店で購入した野菜や果物をテーブルに放置しておくと腐ってしまう。これはその表面についた微生物のせいだ。微生物の中には腐敗を進行させる悪玉と保存を促す善玉がいるのだが、不思議なことに塩を加えると悪玉は消え去り善玉だけが生き残る。これが発酵による食品保存への第一段階だ。本書では、乳酸発酵の基礎知識を基に、身の回りで手に入れることのできる野草や木の実、葉、地下茎などを漬物にしたり調理に利用したりする方法を教えてくれる。 植物を材料にした発酵は世界中の様々な文化で何千年もの間使われてきた。食品を保存するのに最も手軽で安全な方法だからだ。しかも材料はすべて自然の中にある。植物、塩、そして善玉の乳酸菌。食べ物を発酵させるということはさらにおいしく栄養たっぷりにするということであり、今までとは違ったレベルの新しい味わいを創り出すことでもある。 ベルギーでの子ども時代、ザワークラウトの酸っぱさに辟易していた著者だが、移り住んだロサンゼルスでキムチのおいしさに目覚め、発酵食品にのめり込む。さらにアウトドアの経験を活かし、材料を自然の中に求めた。この本にも自然素材を使ったザワークラウト、キムチ、ピクルスはもちろん、スープ、ホットソース、スパイシーペースト、乳成分不使用のチーズ、粉末のスパイスブレンドなどなど、100を超えるレシピが写真入りで紹介されている。 一方、発酵食品は健康志向の消費者だけでなく高級レストランのシェフの間でも話題になっている。また、身近な自然環境から調達してくる食材で、新たな調理法の可能性は無限に広がる。自然の景観や生態系は土地により違いはあれど、食用に適する植物の多くははどの地域でも手に入る。むしろこうした植物は外来種として有害とされているので、それを食用に転じるのは除草剤を使って根絶を図るよりも環境保全に役立つと著者は指摘している。 |