原題 | Courting the Wild Twin |
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著者 | Martin Shaw |
ページ数 | 144 |
分野 | 民俗学、自己啓発、神話 |
出版社 | Chelsea Green Publishing |
出版日 | 2020/03/11 |
ISBN | 978-1603589505 |
本文 | 古い言い伝えによると、人はみな双子で生まれるのだという。生まれた時に双子の片割れは活力の多くを持ったまま窓から森に放り出され、放浪の身となる。そして森を、大草原を、街をさまよっている。その分身を探し出す旅に出かけよう。その分身のポケットの中には人生の目的が詰まっている。人がこの世にいる短い時間で何ができるのか、生きる意義は何か。その「もう一人の自分」がカギを握っている。 著者はもう一人の自分のことをワイルド・ツインと呼ぶ。私たちは何気ない瞬間にその気配を感じることがあるが、社会規範に従うことを優先するあまり、ワイルド・ツインを避け、無視してしまう。しかし、外の世界との関係性を再構築したり、広い視野を持って大胆に物事を考えるようにするためには、ワイルド・ツインを意識の中に呼び起こし、新しい自分を作り上げなければならない。 本書では謎めいたワイルド・ツインを題材にした二つのヨーロッパの伝承を取り上げ、パートに分けてその意味を説く。それは私たちの心の中にある根源的なものを暴き、正邪や善悪を超えた判断や考え方があることを示している。この世には批判的に捉えれば「悪」とされるようなこともあるが、神話は理性よりも魂に語り掛けてくる。そのためか、老婆や口をきく蛇、暗い森、首を切り落とされて魔女の台所の釘につるされてしまう王女などが登場しても、その不気味さも楽しめてしまう。神話の世界には、理性の届かない、より根源的な所から囁きかけるワイルド・ツインの声があふれているのだ。 物事の良し悪しを論ずる前に、まずなによりも、個人として内なる声に耳を傾けるべきだという著者の一貫したテーマは、生きていくうえで多くの困難を乗り越える手がかりになるかもしれない。 |