原題 | Black and White Thinking |
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著者 | Kevin Dutton |
ページ数 | 384 |
分野 | 心理学、神経科学 |
出版社 | Bantam Press |
出版日 | 2020/08/27 |
ISBN | 978-1787632325 |
本文 | 著者は心理学の研究者だが、本書では、脳科学的視点で人種や宗教、政治的思想・信条などに関連した問題を考察する。そのうえで、現在我々の身の回りに起こっている社会問題(コロナウィルスやテロリズム)への向き合い方を説く。 人間には「分類する本能」がありカテゴライズするようにできている。私たちの脳には識別するために必要な配線が組まれ、物事に対してー対の型をつくりだす性質がある。それは私たちの脳の仕業なのか。 イスラム教かクリスチャンか。黒人か白人か。彼らか私たちか・・・。 本書では自分たちとは、むしろ異なる人々と手を取り合い、世界の問題について考え、挑戦することの重要性、必要性が語られる。 現在私たちがしていることは「自分たちの信じる何か」を肯定しているだけである。結果生まれるのは新たな危険を孕んだ可能性だけだ。ISIS、Brexit、Donald Trump。 読者は、普遍的に二面性をもった私たちの理性とキャパシティについて知り、考えるきっかけを与えられるだろう。 本書では差別や異なる人種・グループを白と黒と表現するが、黒人と白人でないグレーと言う分類も加えられている。 著者は黒人と白人など、人のグループを人種や宗教、文化でカテゴライズして捉えることについては警鐘を鳴らす。このような考え方は、宗教についての不寛容さをより際立たせ、政治的には極端な主義が生まれる元凶となる。 本書ではテロリスト、テロリズムについて多く例に挙げ、読者は二面性をもつ脳のプログラムの進化について理解を深めることができるであろう。 付録では言語学や認知、歴史についても簡潔にまとめられている。 この本から読者が学ぶのは、人種・宗教・政治的な主義というフィルターを通して現代の問題を見ることの重要性だ。コロナウィルスはまさに今最も重要な問題だが、こうした医学的な観点以外からの見方も必要なのではないだろうか。 |