原題 | THE TECH SOLUTION |
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著者 | Shimi Kang, M.D. |
ページ数 | 320 |
分野 | 教育/精神医学/社会 |
出版社 | Viking |
出版日 | 2020/08/18 |
ISBN | 978-0735239548 |
本文 | 生まれたときからデジタル社会に生きる子どもたちを、テクノロジーとどう向きあわせればよいのか。現代の子育ては難しい。スマホをもたせるのは何歳が適当か。ゲームは1日何時間までなら大丈夫か。頭を悩ませる親は決して少なくないだろう。テクノロジーにまつわる子育ての疑問に対し、著者は医学と教育の専門家として、また3人の子をもつ母親として、読者を答えへと導いていく。 本書の出版は喫緊だったと著者はいう。それは国を問わず現代社会が抱える、ある種の問題所以だ。いま、世界の若者のあいだに広がる疫病は「孤独」。WHOがそう定義する背景には、自信のもてない、挑戦したがらない若者が増えているというデータがある。スマホの爆発的な普及に比例して、若いうつ病患者と自殺者数も増加の一途をたどる。便利さの代償に手にした闇は、親の悩みの深さを色濃く反映しているかもしれない。 現代社会への処方箋ともとれる本書の特徴は、ただの経験則ではなく神経医学に基づいて答えを示している点に集約される。はじめにテクノロジーが人間の脳に及ぼす影響を科学的見地から概説してうえで、各章において、子どもへの対処法をその根拠となる体内ホルモンとあわせて紹介していく。科学に裏付けされているからこそ、明確な解決策として読み手の胸に響くだろう。 テクノロジーをうまく活用するにはどのような習慣を身につけるべきか。スマホの中毒性はいかにしてコントロールすべきか。どれも気になるトピックはすべて、日常ですぐ実践できるかたちで紹介されている。「この本は、子どもの人生に関わるすべてのひとのため」と著者がしるすとおり、1人でも多くの大人がこの処方箋を手にとれば、子どもの健全な成長を促し、ひいては「社会の成長につながる」と期待を抱かせてくれる。 |