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原題 The Economics of Emotion
著者 Kyle M.K.
ページ数 250
分野 経営/ビジネス自己啓発/心理学
出版社 Dropcap
出版日 2019/01/14
ISBN 978-1544513478
本文 企業はモノをつくり、サービスを提供する。だからモノやサービスの質を向上させればビジネスはうまくいく。ややもすれば陥りがちなこの演繹法に著者は異議を唱える。モノとサービスの先にあるのは一体なにか、と一歩踏みこむのだ。モノを使いサービスを受けるのは、はたして人間である。ひとの感情を抜きにしてビジネスの浮沈を語ることはできない、と。

本書は大きく三章で構成される。第一章で、自身の幼少時の体験談を踏まえ、感情を重視する意義を大観。意義を示したうえで、第二章でひとの感情をていねいに読み解いていく。喜び、悲しみ、怒り、恐怖、嫌悪、驚きといった基本的な6つを、心理学がはじめての読者にとってもわかりやすく1つひとつ解説する。そして第三章で、感情をビジネスの世界に落としこむ。AppleやDisneyなどの実例を引きあいに、ビジネスで感情をどう活かし、またどう活かされるべきかを詳らかにする。

「ひとはあなたがいったことも、あなたがしたこともいずれ忘れるだろう。だけど、あなたに対して抱いた感情は、いつまでもこころに残る」(米国の詩人、マヤ・アンジェロウ)

なかほどで紹介されるこの名句の詩情は、そのまま本書の魅力に通じるといってよいかもしれない。他のビジネス書とは趣を異にする、と巻頭で著者みずから語るように、糧となる怜悧なビジネス論を骨組みとしてしっかり残しつつも、優れた筆さばきで読む者をはっとさせ、心証に残す一冊に仕立てられている。