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原題 A Philosophy of Simple Living
著者 Jérôme Brillaud
ページ数 200
分野 人文科学/思想哲学
出版社 Reaktion Books
出版日 2020/04/13
ISBN 9781789142273
本文 シンプル・ライフは、反消費主義者、環境保護主義者、人間が地球に及ぼす影響に関心がある人にとってのスローガンともいえる。シンプルな生活はなぜ画期的で新しいのだろうか。シンプルなのは素晴らしいと思えるのはなぜだろうか。それなのに、時に、シンプルな生活なんてしたくないと感じるのはなぜだろうか。

何千年もの間、人々はシンプルに生きようと努力を重ねてきた。シンプルな生き方を追求するために世を捨てる人もいれば、苦行のような人生を選ぶ人もいた。この本では、ヘンリー・デイヴィッド・ソローやスティーブ・ジョブズ、キニク学派やクエーカー教徒など、古代から現代にいたるまで、シンプルな生き方を選んだ先人達の実践や活動が紹介されている。これを読めば、そのような先人達の人生や哲学がわかる。

 シンプル・ライフは賢者だけが達成できる高い目標で、実現できないのに追い求めてしまう理想の生き方だと思っている人には、一読をお薦めしたい。本書は、シンプルな生活というものは、ごく普通の人でも実現できる、理想的な生き方である、という筆者の信念に基づいて書かれている。シンプルな生活とは、多くの選択肢の中から取捨選択することで得られるものなのである。シンプルな生き方を目指す読者は、この本に感化されるだろう。シンプルな生活こそ、理想的な生き方なのだと気づかせてくれる一冊である。