原題 | Reinventing Pink Floyd: From Syd Barrett to the Dark Side of the Moon |
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著者 | Bill Kopp |
分野 | 音楽/芸能 |
出版社 | Rowman & Littlefield Publishers |
出版日 | 2018/2/9 |
ISBN | 978- 1538108277 |
本文 | プログレシヴ・ロックの代表的バンド、ピンク・フロイドの伝記本はこれまでにも出版され、音楽雑誌の特集も毎年のように組まれている。しかし、本書がユニークなのは、シド・バレットが脱会した1968年から、不朽の名盤『狂気』が発売された1973年までという、グループが確固たる地位を築くまでの時期だけを取り上げている点だ。 これまで、この時期の活動については、あまり注目されてこなかった。『狂気』以降しか知らないファンにとっては、ピンク・フロイドはプログレシヴ・ロックのバンドだが、グループ結成時にはサイケデリック・ロックを演奏していた。全英ヒットチャート10位以内に入るアルバムを2枚出した人気バンドだった。ところが、作詞作曲を担当していたバレットが薬物中毒で脱会。グループは音楽的支柱を失ってしまった。しかし、著者は、このことが『狂気』の音楽性につながったと分析する。 著者は、アルバム制作に関わっていたエンジニアやミュージシャンへのインタビューを敢行し、新たな音楽性の確立を目指していたグループの姿を描く。サイケデリック・ロックからプログレシヴ・ロックへと徐々に変化する姿に読者も引き込まれていくだろう。 また、自身もミュージシャンである著者は、楽曲のコード進行や根音などにも焦点を当てる。1971年発表の「エコーズ」は23分30秒という驚異的な長さの曲だが、著者は冒頭のピーンという音から曲の終わりまで、サウンドを詳細に分析してみせる。これまで重要視されず、見過ごされてきた時代のピンク・フロイドを知ってもらいたいという著者の並々ならぬ意欲が感じられる。 本書は、マニアックなファンをも満足させるディープな内容だが、一般的なファンにとって敷居が高いわけではない。初めて知ることが多く、楽しんで読める一冊となるだろう。 |