原題 | The Profit of Kindness: How to Influence Others, Establish Trust, and Build Lasting Business Relationships |
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著者 | Jill Lublin |
分野 | 自己啓発 |
出版社 | Career Press |
出版日 | 2017/1/23 |
ISBN | 978-1632650726 |
本文 | ビジネスをするということは、サメがウヨウヨするプールに飛び込むことではない。食べられないようにビクビクする必要も、自分がサメになって他のサメに勝とうと頑張る必要もない。「優しさ(kindness)」をビジネスの中心に置けば、利益、収益、コネクション、顧客、展望の5つを手に入れることができる。 本書は、多くの意味を持ち、曖昧にされがちな「優しさ」というキーワードを7つの性質に分け、章ごとに丁寧に解説していく。モチベーションを高めるような引用や体験談、実際に優しさが利益に結び付くことを裏付ける統計、具体的なアイデアのリストなどを用いており、実用的な内容に仕上がっている。 例えば第3章「感謝」では、やる気のない従業員や、不幸せな従業員が実際に多額の損失を招くという調査結果や、定期的に感謝を示される従業員は熱心に働くというデータを紹介し、優しさ、という漠然としたテーマに存在感と説得力を与えている。 そして、統計や共感できる体験談を交えつつ、まずは「困った人に手を貸すこと」、「人を個人として見ること」、「たくさんほめること」などを提案している。感謝日記を書くことも勧めており、「健康でいられること」や「コーヒーを待たずに買えたこと」などといった、普段気づかないようなことにも感謝する習慣をつけるためのオンラインツールも紹介している。その他にもThank youカードや、クレームへの対応の仕方、ソーシャルメディアなどで他人に感謝を表す方法など、具体的な表現方法が提示されているため、読者が行動を起こしやすい作りになっている。 まえがきでは著者がキャリアスタート時に実際に経験したつまずきを、最終章では病気の母の介護と仕事で疲弊したエピソードと、そのときの「優しさ」の体験が語られている。ビジネスの大小、職業に関わらず、キャリアを重ねてきた女性はもちろん、多くの女性が共感できる内容である。優しさは弱さではなく、自分を良い方向に導いてくれるものであることを、改めて考えるきっかけを与えてくれる一冊である。 |