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原題 The History of Street Gangs in the United States: Their Origins and Transformations
著者 James C. Howell
分野 社会/犯罪学
出版社 Lexington Books
出版日 2015/6/9
ISBN 978-1498511322
本文 アメリカにおいて、ギャングによる暴行は大きな問題である。殺人事件には、国内全体では6件に1件、大都市においては4件に1件の割合でストリートギャングが関わっている。また、過去10年で凶悪犯罪や窃盗関連の事件は急激に減少しているにも関わらず、ギャングによる殺人事件は増加している。

本書は、そうした背景にも触れつつ、アメリカのギャング史を詳細に説明する。1800年代初期から現代に至るまでに、ギャングが遊び仲間から都市犯罪の大部分に関与する重武装のストリートギャングへと変化していった経緯はもちろん、プリズンギャングや多国籍ギャングについても、歴史、人類学、社会学、心理学、犯罪学に基づいて徹底的に論じる。

著者はさらに、アメリカへの移民流入や、国内の人口における各人種の占める割合の変化を考えると、人種・民族間の断絶は避けられず、それは現存するギャングの構造にも影響を及ぼすだろうと警鐘を鳴らし、ギャングの暴行を減らすための最も有望な解決方法を示す。