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原題 A Philosophy of Dirt
著者 Olli Lagerspetz
分野 哲学
出版社 Reaktion Books
出版日 2018/2/12
ISBN 978-1780239187
本文 自分は汚いと感じたことはないだろうか? だが、汚さとは何だろう? 汚いというのは、具体的にはどんな状態を指し、清さというのは何を意味しているのだろう? 

汚さと清さは、罪の意識や、異質さ、社会統制のイメージとよく関連づけられるが、同時に、責任を持ち、周囲との調和をはかりながら生きる姿を想起させることも多い。本書では、哲学と文化における汚さと、汚さから派生したものにまつわる考察が展開される。著者は、汚さは人間活動のほぼすべての面に関係するという。

エフェソスのヘラクレイトス、ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン、マルティン・ハイデッガー、メアリー・ダグラスといった哲学者や研究者から、ルネッサンス期や現代の衛生用品、アブジェクト・アートまで、本書では広範なテーマと時代が取り上げられている。そして、著者は繰り返し、現代における「汚さ」のとらえられ方に疑問を呈し、私たちと世界の物質的なつながりに基づく「汚さ」の新しい見方を提案する。