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原題 Son of a Farmer, Child of the Earth
著者 Eric Herm
ページ数 248ページ
分野 農業/環境問題/社会/スピリチュアル
出版社 Dreamriver Press
出版日 2010/8/16
ISBN 978-0979790898
本文 日々、口にしている食物とそれを生産している農場に対して、注意を向けている人がいったいどれくらいいるだろうか?

著者は4代目の若き農場主として、厳しい経済的現実と複雑な法制度に直面しながら、遺伝子組み換え作物や過剰な化学物質の健康に対する避けがたい影響を訴え、商業的農業がいかに自然、生態系そして農業従事者に負担をかけているかを検証してきた。

政府機関に入り込み、利益を得るために議会決定を買っている巨大な多国籍企業。そんな農業ビジネスのエリート集団が牛耳る今日の農場についての真実とアメリカの農業あるいは食物システムに隠された秘密が明らかにされる。

種、餌、肥料など、すべての段階で企業にコントロールされてきた食物システムから自由になり、残された自然との真の共存を取り戻すための道を探求する著者の姿勢は、現場で得た助ェな経験と洞察、科学的知識と具体的な情報に裏打ちされ、説得力があり、読者に未来への諦めではなくしっかりとした希望を抱かせる。

「人間は食物によって支えられており、食物を育てているのは地球である。農業従事者は、企業主義的な生産者ではなく、地球の守り神(ガーディアン・エンジェル)でなくてはならない」という著者。本書は、アメリカの農業問題という狭い範囲に限定されるものではなく、これからの人類の生き方そのものを問う一冊にもなっている。