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原題 Play Like a Girl: How a Soccer School in Kenya's Slums Started a Revolution
著者 Ellie Roscher
分野 教育/社会問題
出版社 Viva Editions
出版日 2017/8/8
ISBN 978-1632280572
本文 アフリカ最大のスラム街、キベラ。日収1~5ドルというこの地では、女の子の教育は二の次。女の子は学校に行くより、結婚して家事に専念することを求められる。しかし、ある男が、どんな子どもにも教育を受ける権利がある、女の子もしっかり教養を身につければ貧困という負のスパイラルから抜け出せる、と考えた。男の名はアブドゥル・カシム。

キベラで生まれ育ったアブドゥルは、この地域に住む女の子たちの力になりたいと思い、2002年に女子サッカーチーム(Girls Soccer in Kibera)を結成。チームは順調に成績を上げていき、ついに男子チームに勝つという快挙まで成し遂げた。しかし、喜びもつかの間。多くの女の子は売春で食いつないでいたため、望まない妊娠や性病で悩んでいた。家族を支えるためにサッカーをやめて家庭に入る女の子たちも急増した。スラム街のこの過酷な現実に直面したアブドゥルは、サッカーチームだけでは女の子たちの将来を変えられないと思い、2006年に無償の学校、Kibera Girls Soccer Academy(KGSA)を設立する。

11名の女子生徒と2名のボランティア職員で始まったこの学校には、今では130名以上の生徒が在籍し、20名以上の常勤スタッフがいる。本校の目標は、スラム街に住む貧しい女の子たちが教養を身につけること、またサッカーをはじめとする課外活動をとおして、彼女らが自信を持ち、貧困から脱する道を開拓することだ。アブドゥルは、ひとりひとりの生徒が自身の生活や人生を変えることで、スラム街、さらにはケニア全体が変われると信じて、今日もKGSAの改良に全力を注いでいる。

著者はKGSAの変遷を追いながら、国際協力、途上国の発展、貧困、男女の不平等などの社会問題も取り上げ、それらをどうしたら解決できるかを読者に問いかける。