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原題 The Dragon: Fear and Power
著者 Martin Arnold
分野 歴史/民俗学
出版社 Reaktion Books
出版日 2018/6/15
ISBN 978-1780238975
本文 古今東西、世界中に見られるドラゴンの多彩なイメージの変遷と普遍性を、歴史・文化史の視点から概観する。西洋の神話や伝説、民話やアレゴリーなどに登場するドラゴンだけでなく、アジアの龍や蛇神、日本のヤマタノオロチも取り上げ、人類の想像力によってドラゴン的なものに託された恐怖と欲望を考察していく。

後半ではドラゴンの登場する小説から映画、RPGまでを、ジャンルを横断して論じる。トールキン、C・S・ルイスといったモダンファンタジーの祖から、『ゲド戦記』、『ハリー・ポッター』、『ゲーム・オブ・スローン』などの有名ファンタジーはもちろん、『レッド・ドラゴン』や『ドラゴンタトゥーの女』の犯罪小説に見られるドラゴンの意味や、60年代のフォークソング「パフ 魔法の竜」まで解説されており、ドラゴンの登場するファンタジー文学ガイドとしても、ドラゴンという怪物をテーマにした人類の精神史としても楽しめる。

図版も80枚あり(うちカラー図版50枚)、ビジュアル面も充実。