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原題 #2Sides: Rio Ferdinand—My Autobiography
著者 Rio Ferdinand
分野 スポーツ/自伝
出版社 Blink Publishers
出版日 2014/10/2
ISBN 978-1910536735
本文 2002年、ディフェンダーとしては当時最高だった3000万ポンドの移籍金でマンチェスター・ユナイテッドへ移籍したリオ・ファーディナンド。生粋のイングランドサッカー育ちであり、その黄金世代のひとりでもある彼が、自身のキャリアを振り返る。

チームメイトから見たルーニーやクリスティアーノ・ロナウド、「忘れることのできない存在」というメッシ、2007-08チャンピオンズリーグでの決勝PK、リーズやマンチェスター・ユナイテッドでのキャプテンとしての務めなど、サッカーファンにはたまらないエピソードの数々はもちろん、「天才」と讃えるマンチェスター・ユナイテッドの監督サー・アレックス・ファーガソンが選手の能力を最大限に引き出す「秘密」や、自由で独創的なプレイが推奨されながらも「個人がチームのスタイルに合わせるのであって、チームが個人に合わせるということは決してない」というファーディナンド自身の哲学などは、ファンならずとも興味深い。

黒人の父と白人の母をもち、幼いころからたびたび差別されてきたファーディナンドは、サッカー界における人種差別、さらには同性愛についても率直に語っている。比較的貧しい人々が住む地域で育った少年時代や、両親に対する複雑な思いなどからは、繊細で思慮深い彼の人柄に触れることもできる。