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原題 India, China, and the World: A Connected History
著者 Tansen Sen
分野 歴史/アジア
出版社 Rowman & Littlefield Publishers
出版日 2017/9/15
ISBN 978-1538111727
本文 インドを含む南アジアと中国との古代からの交流史が語られることは、これまであまりなかったのではないだろうか。しかし、紀元前17世紀頃から同11世紀頃まで栄えた中国の古代王朝、殷の遺跡からは、インド洋のモルディブで獲れたタカラガイが出土しているという。貨幣として使われていたこの貝は、既にその頃に、南アジアと黄河流域との間に交易ネットワークが成立していたことを示している。

5章からなる本書は、第1章と2章で、紀元前から16世紀頃までの両国間の物と知識と技術の相互流通を描き、第4章と5章では、ジャーナリストや政治家、さらには一般の人々が残した書簡やメモなどから、アジア近代化のうねりのなかで、両国が人々の目にどのように映っていたかを浮き彫りにして見せる。そして、間の第3章では、帝国主義とは何かという壮大な問題を提起し、15世紀大航海時代に始まる西欧帝国主義と、インド、中国、トルコ、モンゴルなどの諸王朝・帝国との比較を試みる。

2016年の世界銀行の人口統計では、中国が約13億7900万人、インドが13億2400万人。3位のアメリカの3億2000万人を大きく引き離し、両国が世界の人口の1位と2位を占める。合計で世界人口の37%を抱える地域の経済・技術・文化の交流の歴史を、膨大な史料を丁寧に検証して多面的にとらえた本書は、グローバル化が加速する現代にあって、私たちがこれから世界をどうデザインしていくのかを考えるヒントにもなるのではないだろうか。