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原題 Food on Foot: A History of Eating on Trails and in the Wild (Food on the Go)
著者 Demet Güzey
分野 食/歴史
出版社 Rowman & Littlefield Publishers
出版日 2017/3/31
ISBN 978-1442255067
本文 かつて大西洋を横断する蒸気船内で供された豪華な食事、狭いシートに座って食べる小さなトレイに乗った機内食、車の中で楽しむビッグマックとコーラなど、食事はこれまで移動手段や環境に見事なまでに順応してきた。「Food on the Goシリーズ」は、さまざまな移動手段の中で人が口にする食べ物や道具、マナーを主題とした双書だが、本書では、特定の移動手段ではなく、野外での食事をテーマにしている。

食べ物は、自然とのつながりを維持する重要な要素だと著者は言う。食べ物に対する深い知識と理解がなければ、南極からエベレストまで、厳しい自然環境の中を踏破することなど不可能だったろう。だが、そうした偉大な探検にまつわる話の中で、食べ物について触れられることがほとんどなかったのもまた事実である。

歴史に名を残す偉大な探検家たちは、食べ物の役割をどうとらえ、世界の果てを目指す長く苦しい旅路の間、いったい何を口にしたのか? かつてのピルグリムや戦場に臨む兵士たちに、食べ物はどんな影響を与えたのか? 癒しを求め、自然を楽しもうと屋外に踏み出すバッグパッカーたちに、青空の下で摂る食事はいったい何をもたらすのか?

著名な探検から家族で楽しむピクニックに至るまで、野外での食事についてさまざまな側面からアプローチする。