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原題 The Ripple Effect: Sleep Better, Eat Better, Move Better, Think Better
著者 Greg Wells
分野 健康法
出版社 Collins
出版日 2017/04/04
ISBN 978-1443436939
本文 睡眠障害、肥満、運動不足、精神疾患――現代社会が直面する4つの課題は、今や地球規模にまで及んでいる。世界の5人に1人が不眠を訴え、偏った食生活が原因とされる2型糖尿病や循環器疾患、癌などの非感染性疾患は、世界の主要死因の上位を占めている。また、カナダ人の60%、アメリカ人の70%が肥満に悩み、カナダ人の20%は何らかの精神障害を患ったことがあるという。このような状況にあってWHOは、運動不足が現代人の健康を脅かしていると警鐘を鳴らしている。

西洋医学はこうした問題に対し、個々の症状に応じて対処してきた。患者が減量したいといえば医師はダイエットを勧め、眠れないといえば睡眠薬が処方されるものの、ダイエットにおける睡眠の重要性や、不眠に対する運動の効果についてまで言及されることはなかったのである。

生理学博士である著者は、小児の慢性疾患、エリートスポーツ選手のトレーニング及び険峻な山岳地域や灼熱の砂漠といった極限環境での精神状態の研究を通じ、睡眠、食事、運動、精神はすべて根底で繋がっており、互いに「波及し合う」関係にあると看破する。

本書には健康を増進し、可能性を引き出し、思い描く人生を送るためのヒントがちりばめられている。例えば;

・カロリーを気にする人がたんぱく質を摂取するなら、ステーキよりもブロッコリーが効果的。
○1日に15分歩くことで、癌になる確率が半減する。
○テニスなどのスポーツをやるとアルツハイマーにならない。
○テレビを見る時間を1時間減らし、その分を睡眠時間に振り向ければ、1年で6キロ痩せる。

また、睡眠、運動、食事、精神について4項目に分けて説明されたあと、最後の6章では、それぞれのポイントを組み合わせた1日の過ごし方が、CEO、運動選手、学生、生活改善を望む人など7つのタイプ別に示され、4つの項目が互いに関連し合っていることがいっそうよく理解できる。具体的で示唆に富む1冊。