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原題 How to Become a Witch: The Path of Nature, Spirit & Magick
著者 Amber K, Azrael Arynn K
ページ数 336ページ
分野 スピリチュアル・自己啓発
出版社 Llewellyn
出版日 2010/12/8
ISBN 978-0738719658
本文 現代の欧米には、魔女を迷信やおとぎ話の登場人物としてではなく、魔女宗(ウィッカ)という宗教のくくりでととらえる女性たちがおり、魔女の使う魔法は、魔女術(ウィッチクラフト、または短縮してクラフト)と呼ばれている。魔女宗は、キリスト教以前の古代ヨーロッパに存在した多神教と自然崇拝(あわせてペイガニズム)に由来する。

魔女宗の最高位の司祭として30年以上のキャリアを持ち、魔女の学習センター長でもあるAmber Kと、それに準ずるキャリアを持つAzrael Arynn Kの最新刊である本書は、魔女宗の歴史や定義、魔女術の解説、道具や修行法など、魔女になるために必要な知識を余すところなく紹介している。

「魔女術」は、短い呪文を唱えて、ある1つの願いをピンポイントでかなえるような「おまじない」とは異なり、自然崇拝に基づいた一連の思想体系である。究極的には、衣食住から考え方にいたるまで、魔女としての生活を送ることで、スピリチュアルなパワーを高めることを目的としている。

本書の「魔女」は、今までの「魔女」とはひと味もふた味も違う。地球上の排気ガスを減らすため、移動には自家用車より公共の乗り物や自転車を利用し、自然に親しむためガーデニングをしたり、限りある資源を守るため無駄遣いを控え、塩分・糖分をおさえた地元でとれたオーガニックな食物を摂るよう勧めていることなど、魔女宗にはエコや健康志向と相通じるものがある。本書に登場する魔女たちは、「新しい現代人」像だと言えるだろう。