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原題 Japan's Cuisines: Food, Place and Identity
著者 Eric C. Rath
分野 文化/料理
出版社 Reaktion Books Ltd
出版日 2016/8/15
ISBN 978-1780236438
本文 2013年にはユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」。本書では、日本食文化研究の第一人者である著者が、さまざまな角度から和食とは何かを検証していく。

著者は、「和食」の前身は、第2次世界大戦時に飢餓の中で国を挙げて質素な食生活をしたことにより生まれた「国民食」であると定義している。また、茶の湯や懐石料理、侘び寂び、「和食」における米や弁当についてなどを歴史的に解説。戦時中にその地域で採れた食材を用いた料理が戦後に郷土料理となったことを、佐賀・高知・飛騨の具体例を用いて示している。

さまざまな文献やデータに基づいた検証が行われているが、「和食」が確立されるターニングポイントとして、すべての項目において第2次世界大戦に焦点を当てている。これまでになかった切り口で和食について解説した、比類のない和食研究。