原題 | Why Does the Other Line Always Move Faster?: The Myths and Misery, Secrets and Psychology of Waiting in Line |
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著者 | David Andrews |
分野 | 心理学 |
出版社 | Workman Publishing Company |
出版日 | 2015/11/17 |
ISBN | 978-0761181224 |
本文 | 誰もが日々なんらかの列に並んでいるが、そこにはたいてい、いくばくかの不安がつきまとう。「なんであっちの列のほうが進みが早いの!?」そう思うのは、待つという行為が時間の感覚を狂わせるため、他の列のほうが早く進んでいるような印象を抱きがちだからだ。 本書では、秩序だった行列の陰に存在する驚くべき科学と心理学、そして行列の持つ惨めさを、ひねりの利いたユーモアを交えて考察していく。例えば、次のような事例が取り上げられる。 ・ブートキャンプ:新入りはまず、きちんと整列することを学ばされる。 ・ディズニーランドのシンデレラ城の地下:世界最高最新の行列管理テクノロジーの本家。 ・2011年のイギリス暴動:暴動を起こした者たちは、辛抱強く略奪の順番を待っていた。 ・中国の「国家による整列指導」:2008年の北京オリンピック以前の中国には列を作る習慣がなく、民衆は西洋人のように列に並んで待つ訓練を受けた。 また、著者はこうも問いかける。今ではインターネットや宅配便の普及により、列に並ぶどころか家から一歩も出なくても様々な用が足せるが、列に並ぶことがなければ、前後の人たちと不平をこぼしあったり、ちょっとしたおしゃべりをしたり、並んでいる間に思いがけず新しい情報を手にしたりといった機会を逃すことになるかもしれない――ひいては、人間らしさを失っていくことにもなりうるのではないだろうか?と。 |