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原題 Venezia e il prete col violino. Vita di Antonio Vivaldi(Antonio Vivaldi: Venice and the Priest with a Violin)
著者 Gianfranco Formichetti
ページ数 220ページ
分野 音楽史・伝記
出版社 Bompiani
出版日 2006/4/1
ISBN 978-8845256405
本文 バロック音楽を代浮キる作曲家で、今では「近代オペラの父」に数えられているアントニオ・ヴィヴァルディ。彼は、「赤毛の司祭」と呼ばれたカトリックの聖職者で、バイオリンの演奏者としても一流であった。しかし、1741年にウィーンで客死を遂げてからは、20世紀の初頭までほぼ2世紀にわたって事実上その存在を忘れられてきた。また、18世紀の初頭にイタリア・ヴェネチアでのオペラ興行で成功を収めた事実は、作曲家としての功績ほどには知られていない。

西洋の劇場史において、ヴィヴァルディは、「興行師として本格的に活動した最初の人物」と目されている。聖職者でありながら、オペラの作曲にとどまらず、イタリア各地で自作オペラの興行を実現させてきたからだ。もっとも彼は、興行師として成功を収めたことで、後に政治的な密議や危険な関係に巻き込まれてしまう。

本書では、ヴィヴァルディが生きた時代の記録を基に、作曲以外は世間に知られていない彼の活動の軌跡をたどる。著者は、「文書探偵」として知られるバロック期研究の専門家。音楽学における議論や、作り話で彩られた既刊の伝記で見落とされているテーマを読みやすくまとめた。彼の人間性を知りたい人々にとってはうってつけの一冊であるだけでなく、バロック文化やショービジネスの歴史を深く知るうえでも、一読の価値がある。