原題 | Why Aren't They Shouting?: A Banker's Tale of Change, Computers and Perpetual Crisis |
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著者 | Kevin Rodgers |
分野 | 金融/証券 |
出版社 | Random House Business |
出版日 | 2016/7/14 |
ISBN | 978-1847941527 |
本文 | ドイツ銀行の見学ツアーにきた1人の客が、トレーディングルームを見て言った。「なぜ彼らは叫んでないの?」 かつてはハンドサインと叫び声が飛び交っていた部屋には、いまやキーボードをたたく音が響くのみ。コンピューターによる自動化によって、銀行や証券会社の事務処理能力は劇的に向上し、発達した金融工学から生まれたデリバティブをはじめとする数々の金融商品により、取引は急速に広まった。だが、あまりに急激な取引規模の拡大と、あまりに細分化された金融商品に、人間の頭がついていかなかった。金融危機が水面下で進行していたとき、一般の投資家のみならず、プロであるはずの銀行員や証券マンですら、何が起きているか把握できていなかったのだ。そう、あの2008年の金融危機の元凶はコンピューターだった。 エンジニア出身で長年金融業に従事してきた著者が、コンピューターの導入が金融をどのように変えたかを、自分の体験をまじえて解説する。 モンテカルロシュミレーションや、バリュー・アット・リスクの指標としての潜在的な問題など、著者が取りあげる論点はときに高度だ。しかし、シニカルかつユーモラスな語り口と、著者の行員時代の興味深いエピソードの数々により、混沌の世界に引き込まれていく。 |