原題 | Orwell's Nose: A Pathological Biography |
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著者 | John Sutherland |
分野 | 文学/伝記 |
出版社 | Reaktion Books |
出版日 | 2016/9/1 |
ISBN | 978-1780236483 |
本文 | ジョージ・オーウェルはビーグル犬にも負けないほどの臭覚をもっていたといわれる。『1984年』ではウィンストン・スミスのアパートのにおいを「ゆでたキャベツと古い敷物のにおいがする廊下」と表現したり、『ビルマの日々』のジョン・フローリの愛人、マ・ラー・メイのにおいを「白檀、にんにく、ココナッツオイル、そしてジャスミンの入り交じったにおいが髪の毛から漂っていた」と言い表したりと、作品の中で各種のにおいを詳しく正確に記述している。 2012年、そんなオーウェルの作品の再読にとりかかっていた文学研究の第一人者である著者は、嗅覚を失ってしまう。しかし、みずからが臭覚を失くしてからオーウェルの「においの描写」を探究することによって、まったく新しい認識をもってオーウェル作品を再評価できた。 オーウェルのにおいへのこだわりはこれまでにも指摘されてきたが、本書はそれを新たな視点から歯切れの良い文章で描き出しており、新鮮なオーウェル評となっている。 |