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  TranNet ブック レビュー No.110 2007/11/7

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 ☆★ 積み重ねられていく二人の会話
        それはどこかにむかっているのではなく、
     ただどこかに行き着こうとしているのかもしれない ☆★


原  題:Prayers Stay the Same
著  者:Tuna Kiremitici
本  文:ページ
分  野:177ページ
出版社:Dogan Kitap
出版日:2007年6月
I S B N:975-293-592-1


二人の女性が絆を深めていく物語。ロゼッラは第二次世界大戦中にイスタンブールへ避難した老女で、今は病を患い、少しずつ死期に近づいていた。一方、ペリンはまだ若く、自然さを失いつつある中央ヨーロッパの文明社会の中で、自分の人生を切り開いていこうと模索していた。大きく年が離れたロゼッラとペリンだったが、辛い恋を経験し、悲しい過去を背負っているという共通点を持っていた。そんな二人の絆をさらに深めたのがトルコ語だった。ロゼッラとペリンは長い会話を続けていくうちに、少しずつお互いの話に引き込まれていく。まったく異なる世代で、まったく異なる価値観を持った二人がゆっくりと心を通わせていく温かいストーリー。

本書は二人の対話だけでつづられていく。ロゼッラの出した新聞の求人広告を見てやってきたのがペリンだった。ロゼッラがペリンに頼んだ仕事は、「週に二回、ロゼッラと一緒に話をすること」だった。奇妙な仕事内容に戸惑うペリンだったが、ロゼッラにとってはトルコ語で話をすることに大きな意味があった。自分の人生が残り少ないことを悟り、痴呆が始まってきたロゼッラは、人生で一番の輝きを放ち、そして悲しみを経験したイスタンブールでの青春時代の思い出をなくさぬために、そのとき覚えたトルコ語を失いたくなかったのだ。また、聞き役としてロゼッラの元へやってきていたペリン自身も内に傷を抱えていた。頑な態度だった彼女もロゼッラと時をともにするにつれ、徐々に変化を見せていく。

トルコで注目されている現代作家の新作。本国では6万部を売り上げている。








☆★ ローマ帝国の崩壊とともに財宝はあとかたもなく奪い去られ
           歴史の闇に消え去った ☆★


原  題:The Lost Gold of Rome: The Hunt for Alaric's Treasure
著  者:Daniel Costa
本  文:240ページ
分  野:歴史/ノンフィクション/古代ローマ
出版社:Sutton Publishing
出版日:2007年2月
I S B N:0-7509-4397-0

起源410年、西ゴート族・アラリックの侵略によって滅亡の危機を迎えた末期ローマ帝国。しかし、ローマ市を略奪しつくしたアラリックは、帰途で急死してしまう。そして、アラリックの遺体は、残された財宝の一部とともにイタリアのどこかに葬られた。これが、後世に伝わる「ローマの失われた黄金」伝説である。

著者ダニエル・コスタは、近年まで多くは知られていなかったアラリックの偉業、死、謎の埋葬場所について、ヴィヴィッドなドキュメンタリーを完成させた。

391年に一度はローマに敗れたアラリックだが、後にテオドシウス大帝に助力し、東西帝国の統一に寄与する。395年に再び反乱を起こし、ギリシャ諸都市を略奪。そして410年に、ローマへと侵攻する。アラリックは、西ローマ帝国の分裂を引き起こした最初の発火点であり、ローマ教皇に政治介入を促したことでも知られる。アラリックの埋葬地には、紀元70年にローマがエルサレムから強奪した聖遺物や装飾品が含まれているという。なかでも、あまたのトレジャーハンターたちが捜し求めたのが、「失われた黄金」であった。かのハインリッヒ・ヒムラーも、その探求者の一人である。ローマ帝国の終焉、教皇の台頭、そして残された財宝というミステリーがおりなす、第一級の歴史ドキュメンタリー。








☆★ 「暴力」が生み出すものは悪? 善?
       人は「暴力」を全面否定できるのだろうか? ☆★


原  題:A Terrible Beauty: An Exploration of the Positive
     Role of Violence in Life, Culture and Society
著  者:Leon Whiteson
本  文:136ページ
分  野:社会文化学
出版社:Mosaic Press
I S B N:0-88962-727-7

1920年代半ばから1950年代半ばまで、アメリカ人の娯楽の中心はパルプ雑誌だった。今ではその座を、テレビや映画、コミック本、ペーパーバック小説に明け渡してしまったが、現在活躍している大人気キャラクターの多くは、あの時代のヒーローたちから生まれたのだ。たとえば、バットマンは『シャドウ』、スーパーマンは『ドック・サヴェッジ』、ジェイムス・ボンドは『オペレーターNo. 5』の系統を受け継いでいる。他に、ターザン、キャプテン・フューチャー、スパイダーマン、怪傑ゾロも登場する。

作者は本書で、人気のあった主な登場人物と、それを巧みに作り上げていた作家たちに焦点を当てて、絶大な影響力を誇ったパルプ雑誌について述べる。パルプ小説は一作品を一人で書くのではなく、何人もの作家が関わっていたこと、出版社が念入りに登場人物やストーリー構成を考えて作家たちに書かせていたなどがわかり、興味深い。時代背景も色濃く反映されており、40年代には、アメリカがドイツの核兵器攻撃にあい、絶滅という話も登場する。

テレビや映画が普及していなかった時期に人気のあったヒーローと、その誕生秘話満載な一冊。



次回のブックレビューは2007年11月21日発行となります。フランクフルトブックフェア 2007で見つけた最新情報!そして、Hot な新刊書を満載でお送りいたします。

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