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前回はNSW州知事が主催する読書マラソン“Premier’s
Reading Challenge”についてお伝えしたが、後日事務所には
参加者たちの読書記録が続々と届き、事務員さんたちはその
処理で大忙しだという新聞記事を見かけた。今年は参加者数
が過去最高で、うれしい悲鳴といったところだろう。
小中学生の読書マラソン Premier's Reading Challenge 2006!!
今回は、シドニーで活躍する日本人作家、もりもとじゅんこさんの”The Two Bullies” が1998年に絵本部門第1位に輝き、話題を呼んだオーストラリア児童図書賞についてのレポートをお届けしたい。毎年9月に始まる “Premier’s Reading Challenge” も、翌年8月に、この賞の発表をもって締めくくられる。
1946年に設立されたオーストラリア児童図書賞は、幼年、低学年、高学年、絵本、ノンフィクションの5つの部門に分かれ、文学性と芸術性に優れた子どもの本に贈られる。候補作品の条件には、その年に出版されたオーストラリア国内で購入可能な本で、作者はオーストラリアの市民権保持者、または2年以上オーストラリアに在住していることなどがある。
魔女の井戸端会議?? ピエロと海賊 マザーグース
毎年、出版社(Scholastic Australia, Allen & Unwin, Viking Penguin Books, Walkers Booksなど)が寄せる300点以上の作品の中から、オーストラリア児童図書評議会によって翌年4月にショートリスト、8月に受賞作品とオナー(次点)作品が選ばれる。ショートリストに選ばれた本は約1万5千冊増刷されるが、そのとき表紙には金色のステッカーが貼られ、書店でもそれと一目でわかる。学校の図書室や地域の図書館に置かれるのは勿論のこと、高学年部門の本は授業で取り上げる学校も多く、そうなると生徒の人数分その本を購入することになるので、販売数に大きく影響すること必至だ。さらに上位3位に入った作品は、イギリス、カナダ、アメリカなど、他の英語圏の国での出版の可能性も高くなるから、この賞はオーストラリアで児童書を扱う出版社にとっては最も重要な賞だと言えるだろう。
こわい先生も今日だけは天使? オーストラリア図書賞入賞作品紹介 白雪姫
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図書賞発表の翌週には、各学校や図書館で ”Book Week” が開かれる。娘の通う小学校では、生徒が好きな本の登場人物の仮装をして校庭をパレードするのが毎年恒例となっている。ディズニー映画の主役たちやバットマン、ハリーポッターなどの人気キャラクターから、『オズの魔法使い』」のドロシーや『赤ずきんちゃん』など、クラシックな主人公の姿も。そして、生徒たちに負けじと毎年趣向を凝らした衣装で登場する先生たちの姿も見逃せない。今年もマザーグース、海賊、魔女、天使などのいでたちでその日の雰囲気を盛り上げ、学校はちょっとしたお祭り気分に包まれた。楽しむことが上手なオーストラリア人らしさがうかがえる一場面だ。まさに「楽しみながら本に親しむ」という言葉がぴったりの “Book Week” だった。
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□■□■□■□ 海外レポート □■□■□■□
”シドニー発 子どもたちの読書事情 ”『 小中学生の読書マラソン 』
『 ”Book Week”みんな主人公!』 の取り組みを紹介。
<<取材・インタビュー>>
シドニー在住 TranNet 会員 鎌田裕子
1991年来豪、自然の美しさと多文化社会の
面白さに魅せられる。
日本語教師や通訳を務め
ながら、オーストラリア人作家の優れた
作品を日本の読者に届けることを目標に、現在翻訳修行中。
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