第20回 パリ・モントレイユ 児童書展 開催!


20e SALON DU LIVRE
        ET DE LA PRESSE JEUNESSE!

今回は、フランス国内で児童書専門のブックフェアとして最大の規模を誇る「パリ・モントレイユ児童書展」のレポートをお送りいたします。今年で20年目を迎える同展は、11月24日(水)から29日(月)までパリ郊外のポルト・ド・モントレイユで開催されました。
モントレイユはパリ中心部から東へ30分ほど離れた郊外にあります。会場の周辺は高層ビルが目立つパリの中心部とは異なり、昔からそこにあるお馴染みの小さな果物屋やサンドイッチ・スタンドなどが立ち並ぶ小さな街です。観光客の姿はまったく見られず、パリで居住する人々の様子をじかに肌で感じることができる場所です。



今年で20回目を迎える同展は毎年読書好きの子供たちが多く集まることで有名で、新聞やTVでも初日の様子を扱っていました。
週末は、出展ブースに用意されたソファに座って親子で絵本を一緒に読む姿が多く見受けられました。イタリア発・日本語版も出版されているジェロニモ・スティルトン(Geronimo Stilton)が遊びにくると、子供たちは大喜びで大きな体に触ろうと大騒ぎ。その他、人気作家やイラストレーターがサイン会を行うブースも多く、購入した本を片手に子供たちが行列を作っていました。

                

フランスのMANGAブームは加熱する一方で、MANGAを扱う出版社のブースには多くの中高生が立ち読みをしていました。ブースには Shonen、Katsu、Sakura など日本語読みできるタイトルがずらり と並び日本人から見ると不思議な光景です。『GTO』を立ち読みする男の子を目にしたときは、思わず中身をのぞきこんでしまいました。興味深かったのは、日本人作者の絵本に多く出会ったことです。Kazuo IWAMURAの大型絵本やMariko KIKUTAの絵本は日本らしい繊細な線使いとシンプルな構図がフランス特有のオイル・ペインティングを使った絵本とはまた異なる美しさを放ち際立っていました。



最終日となった月曜日は、「専門家」の日。出版社・書店・学校の先生・図書館司書など、コート姿のそれらしい人たちで賑わっていました。小学校の先生などが10冊以上もの大量の書籍を一度に購入する光景を目にすると、こんな素敵な絵本を読める子供たちはなんて幸せなんだろう、と思わず笑みがこぼれます。

また各出版社のブースの奥では、イラストレーターが自分の作品を持って売り込みを行っている姿も多々見受けられ、今ここで新しい本がまた生まれようとしている瞬間を感じ取ることができました。

        

この「LA PRESSE JENUNESSE FAIR」は、フランス特有の児童書の傾向がよくわかるものでした。カラフルな色使いはもちろんアートの国・フランスならではの油絵タッチの絵本が今多くなってきているという話も聞きました。内容としては今までのような人気のキャラクターものから、アジアの神話やカリブ海の伝説、先住民の物語などさまざまな地域の文化を扱った書籍が見られ、フランスの「文化の多様性」を反映したこの児童書展は、大人の私でも知的な刺激を受けるよい機会となりました。またいくつか素敵な本も見つけましたので、出版企画としてご紹介差し上げたいと思っています。

パリ・モントレイユ児童書展レポーター  玉置祐子 (フランス在住翻訳者)

株式会社 トランネット
東京都新宿区市谷田町3-8(〒162-0843)
新杵ビル3F
TEL:03 3513-5488
FAX:03 3513-5589
E-mail:takano@trannet.co.jp
URL:http://www.trannet.co.jp

Copyright & Copy; 2001〜2009 by TranNet KK All rights reserved.